2007-12-31(Mon)

遠い空から響く鐘

Buddha Stone Statue

除夜の鐘は暗い遠いい空で鳴る。
千万年も、古びた夜の空気を顫(ふる)はし、
除夜の鐘は暗い遠いい空で鳴る。

それは寺院の森の霧(けむ)った空……
そのあたりで鳴つて、そしてそこから響いて来る。
それは寺院の森の霧った空……

その時子供は父母の膝下(ひざもと)で蕎麦を食うべ、
その時銀座はいっぱいの人出、浅草もいっぱいの人出、
その時子供は父母の膝下で蕎麦を食うべ。

その時銀座はいっぱいの人出、浅草もいっぱいの人出。
その時囚人はどんな心持だらう、どんな心持だらう。
その時銀座はいっぱいの人出、浅草もいっぱいの人出。

除夜の鐘は暗い遠いい空で鳴る。
千万年も、古びた夜の空気を顫はし、
除夜の鐘は暗い遠いい空で鳴る。
                      
                          中原 中也 『除夜の鐘』
                          「在りし日の歌」より



夜陰のなか 遠くから響いてくる除夜の鐘
百八つの煩悩を消すという その鐘を最も厳粛な思いで聴きとめているのは
あるいは 監房のなかでそれを聴く囚人たちなのかもしれません
街の賑(にぎ)わいや 家族の団欒(だんらん)のなかで
ひとつの行事として聞き流しているひとびとではなく…☆



2007-12-30(Sun)

遠いうたごえ

green earth

(しつけ)の悪い子どものように ろくな挨拶もせず
青空の扉をあけ 大地の座敷に上がりこんだ

私たち 草の客 木々の客
鳥たちの客 水の客

したり顔で 出された御馳走に
舌づつみを打ち 景色を讃(ほ)めたたえ

いつの間にか 主人になったつもり
文明の なんという無作法

だがもう立ち去るには 遅すぎる
死は育(はぐく)むから 新しいいのちを

私たちの死後の朝 その朝の
鳥たちのさえずり 波の響き

遠い歌声 風のそよぎ
聞こえるだろうか いま
                              谷川 俊太郎 『地球の客』
                              「真っ白でいるよりも」1995年


地球というこの惑星が 真に再生されるのは
文明によって この惑星を無作法に蹂躙(じゅうりん)したわたしたち人類が
ことごとく死に絶えた朝なのかもしれません
もういちど無垢(むく)な大自然を取り戻す再生力がまだこの星に残っていると期待したいですね☆
2007-12-28(Fri)

満開に出逢うために

Blue flower

  わたしは
  わたしの人生から
  出ていくことはできない

  ならば ここに
  花を植えよう


                         工藤 直子 『花』
                         「てつがくのライオン」(理論社,1982年)




どんなにいやだと思っても… 時ににうんざりさせられても…
わたしたちは 自分の人生から逃げ出すことができません
思い定めて この人生にたとえ一本ずつでも 根気よく丹念に花を植えていくならば
いつか振り返ったときに いちめんの花ざかりに出逢うことができるでしょう☆




2007-12-27(Thu)

彼方からの声

Man on rock

声はまわり道をした
あなたを呼ぶ前に
声は沈んでゆく夕陽を呼んだ
森を呼んだ
海を呼んだ
ひとの名を呼んだ
けれどいま わたしは知っている
戻ってきた谺(こだま)はすべてあなたの声だったのだと

                              谷川 俊太郎 『谺』
                              「女に」1991年




求めた答えは あらゆるかたちで返ってきます
夕陽のかがやきのなかに 森の沈黙(しじま)のなかに 波涛(はとう)のとどろきのなかに
だれかのことばのなかに…
期待したかたちの答えばかりをみつめていると 聞きのがしてしまう声もあるでしょう☆





2007-12-26(Wed)

むなしいことば 2

Wine-cellar

ある者は自分でもわからずに、
ある真理を明らかにすることがある。
かと思うと、内に真理を抱きながら
ことばで告げない者がある。
彼らのうちには、リズムある沈黙をたもって
精神が宿っているのだ。
道端や市場で友だちに会うとき、
あなたの内なる精神に導かせて 唇と舌を動かしなさい。
あなたの声の内なる声に 友の耳の内なる耳に語らせなさい。
なぜなら友の魂はワインの味をおぼえるように
たとえ色が忘れられ、器が失(う)せた後でも
あなたの心の真実をおぼえつづけるだろうから。

                           ハリール・ジブラーン『しゃべることについて』
                           「預言者」より
                           神谷美恵子訳(『うつわの歌』所収)
                           ©Mieko Kamiya 1989


And there are those who talk, and without knowledge or foresight
reveal a truth which they themselves do not understand.
And ther are those who have the truth within them, but they tell it not in words.
In the bosom of such as these the spirit dwells in rhythmic silence.

When you meet your friend on the roadside or in the marketplace,
let the spirit in you movr your lips and direct your tongue.
Let the voice within your voice speak to the ear of his ear;
For his soul will keep the truth of your heart as the taste of the wine is remembered.
When the colour is forgotten and and the vessel is no more.


                     Kahlil Gibran “About Talking
                       The Prophet
                      © Wordsworth Editions Limited. 1996



とり憑かれたように しゃべり続けるひとがいます
そんなとき そのひとの言葉づらを追っても そのひとの心の迷宮に共に迷い込むだけです
じっと心の耳を澄ませ 言葉の奔流(ほんりゅう)の奥に埋もれている
そのひとの<本当に求めていること>を探らねばなりません
寡黙(かもく)なひとも しゃべらないからといって
その精神が饒舌(じょうぜつ)でないとはかぎりません
黙して語らぬひとの心の声に耳傾け 瞳の色を読むことで
そのひとの内包するものにふれたなら 意外な真実をそこにみるかもしれません☆




2007-12-25(Tue)

聖夜の孤独 2

xmas tree in a snowing night

…いつまでここで耐えるの?

この辛さをあざ笑う悪魔
君のこと待ち続けるばっか
夜なのに 今夜は聖なる夜なのに
絶え間なく続く星の爆発
音もなく消えていなくなった
独り言言うよ
メリークリスマス…

夜なのに 今夜は聖なる夜なのに
最終の電車に乗り込んだ
なにかしらギリギリの人ばっか
独り言言うよ
メリークリスマス…

身体の雪を払いながら
ジグザグに揺れて落ちる葉っぱ
夜なのに 今夜は聖なる夜なのに
絶え間なく続いて行くドラマ
ただ君と一緒にいたかった
独り言言うよ
メリークリスマス

                          Lyrics by 吉井和哉 『バッカ』(抜粋)
                          「Hummingbird in Forest of Space」




お祭り騒ぎやパーティやデートのない独りの聖夜も たまにはいいかもしれません
街の喧騒の外側にいて しんとした気持ちで ただ独り
ひりひりとした孤独と向き合うことはもちろんつらいけれども
この夜自体に どこかしら救いと再生への希望が宿っているのですから☆


2007-12-24(Mon)

聖夜の孤独

xmas tree background

灯りのなかを雪が舞い
窓ガラスが凍りついている クリスマスの夜
すべてがぼくに もう一度君に逢いたいと思わせる

凍てつく風の吹き抜ける通りは
去年と同じに見えはしないし
クリスマスキャロルもブルースのように聴こえるけど
それは聖歌隊のせいじゃない
でも…すべてが同じ結末をたどるとは限らないさ

ぼくらが分かちあったものを 終わらせるべきじゃなかった
ぼくは今日という日に紛れこんでみるつもり
なんだか今夜は簡単に君にもう一度逢えそうな気がするから
それだけが今夜にふさわしいような気がする

混みあう店の片隅にはサンタクロース
派手に飾りたてられた午後
歩道のわきではバンドが歌ってる
少し調子のはずれた歌を

冷たい風の吹く冬の通りを
ひとりぼっちの男が歩いてく
それが誰だか話したら きみはきっとわかってくれるだろう
とにかく…すべてが同じストーリーをたどるとは限らないよね
だから ぼくは今日という日に紛れこんでみるつもり

                            ジム・クロウチ
                            訳詩 ©2007Luminas


Snowy nights and Christmas lights,
Icy windowpanes,
Make me wish that we could be
Together again.


And the windy winter avenues
Just don't seem the same,
And the Christmas carols sound like blues,
But the choir is not to blame.
But it doesn't have to be that way.

What we had should never have ended.
I'll be dropping by today.
We could easily get it together tonight.
It's only right.

Crowded stores, the corner Santa Claus,
Tinseled afternoons,
And the sidewalk bands play their songs
Slightly out of tune.

Down the windy winter avenues
There walks a lonely man,
And if I told you who he is,
Well I think you'd understand.
But it doesn't have to be that way.

What we had should never have ended.
I'll be dropping by today.

                               "It Doesn't Have To Be That Way"
                                Lyrics by Jim Croce



クリスマスとお正月は ひとりきりで過ごす人により孤独を実感させる季節といえます
だれかを孤独なクリスマスとお正月に追いやらなければならなかった人は
その傷みに苦しめられるかもしれません
伝統と文化に根ざしていない日本のクリスマスは商業主義にまみれているけれど
それでも 誰かと最初に あるいは最後に過ごしたクリスマスは やっぱり
特別な想い出となるのは不思議ですね
そして 誰もが自分の周囲の人に対して温かな想いを寄せる季節です
もう二度と一緒にクリスマスを過ごすことのない誰かにも…
いま一緒にクリスマスを過ごそうとしている誰かにも…☆



2007-12-23(Sun)

むなしいことば 1

Young Girl Looking Out Window

心が平和でなくなったとき
あなたがたはしゃべる。
心の孤独に耐えられなくなったとき
あなたがたは唇に生き
音は気散じと慰みになる。
おしゃべりの多くの中で
思考(かんがえ)は半ば殺される。
思考は空間(スペース)を必要とする鳥だから、
ことばの籠(かご)の中では羽をひろげるだけで
飛び立つことができない。

ひとりで居るのを恐れて
話好きの人を探し求める者がある。
ひとりで黙っていると、裸の自己が見えるから、
それを逃げたいと思うのだ。
                          ハリール・ジブラーン『しゃべることについて』
                          「預言者」より
                          神谷美恵子訳(『うつわの歌』所収)
                          ©Mieko Kamiya 1989


You talk when you cease to be at peace with your thoughts;
And when you can no longer dwell in the solitude of your heart you live in your lips,
and sound is a diversion and a pastime.
And in much of your talking, thinking is half murdered.
For thought is a bird of space,
that in a acage of words may indeed unfold its wings but cannot fly.

There are those among you who seek the talkative through fear of being alone.
The silence of aloneness reveals to their eyes
their naked selves and they would escape.

                 Kahlil Gibran “About Talking
                  The Prophet
                 © Wordsworth Editions Limited. 1996



心が真に満たされているとき 確信に満ちているとき
わたしたちは むしろ寡黙(かもく)になります
誰かをつかまえて 聞いてほしくて仕方ないときは 心がむなしいときです
でも そんなときに発するわたしたちの言葉もまた むなしいのです
空疎に空回りする言葉を弄(もてあそ)んでいる時間 思考は一時停止したままだから…
語ることに逃げることなく 静寂と孤独のなかで自分と向き合わなければ
けっして答えはみつからないとわかっているのに…☆


2007-12-22(Sat)

重い翼 Part2

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いらない もういらない
ことばだけの 愛なんて
むなしさにぬれて つばさは重い
重いけれど
流れない時間の岸から
羽ばたきたいのだ
吹きすさぶ嵐のなかで
歌いたいのだ
たとえ痛みがあってもいい
そこに生きるあかしがあるならば

どうしようもないきのうを持ってしまったが
どうにかできるあしたがあるさ
どうにもできない傷を負ってしまったが
どうにかできるあしたがあるさ

                               川崎 洋 『重いつばさ』(抜粋)
                               「重いつばさ」(花曜社)



ぬれて重たく傷(いた)んだ翼で飛び立つことは 
最初はいっそうの痛みを伴うでしょう
けれどもまた 無心に飛翔しつづけるうち 痛みよりもむしろ
羽ばたくことに 吹きすさぶ嵐のなかで歌うことに
生きる証(あかし)の手ごたえを感じるようになるでしょう
ぬれた翼のまま 岸で立ちすくんでいるだけなら
いつまでも 流れない時間のなかで自分の痛みだけをみつめていることになるのです☆




2007-12-21(Fri)

重い翼 Part1

A mob of sheep

いらない もういらない
ことばだけの やさしさは
悲しみにぬれて つばさは重い
重いけれど
おとなしい羊の群れから飛び出したいのだ
うつむいた仲間と別れて
走りたいのだ
たとえ終りがあってもいい
そこに始まりが宿っているならば

                               川崎 洋 『重いつばさ』(抜粋)
                               「重いつばさ」(花曜社)



大きな不幸を避けて通り たとえ悲しみがあるとしても 
それを傷(いた)みとして深く受け止めることなく やり過ごし
うつむいて黙々と日々を消化している群れのなかにいると
自分もまた 傷みに鈍くなり 大地に縛りつけられているうちに
ずっと畳まれていた翼はすっかりこわばって 重くなってきます
天を仰ぐことも 飛び立とうとすることも忘れ果てて…
群れから走り出すことは 勇気がいるけれど
そして激しい落胆や終わりに見舞われるかもしれないけれど
走り出すことそのものに 始まりの力が宿っています☆






2007-12-20(Thu)

魂に刻まれた河

Elephants, pilgrims at dawn

ぼくは たくさんの河を知っている
この世界と同じくらい太古の昔から流れていた いろんな河を…
人のからだの血管を流れる血の流れよりも はるかに古い河を…

だから
ぼくの魂は 河の流れのように深みを増したのだ

夜が明けそめるころ ユーフラテスで身を清め…
コンゴ河の岸に小屋を建て 瀬音にあやされて眠った…
ナイル川を見下ろし その高台にピラミッドを建てた…
エイブ・リンカーンがニュー・オーリーンズに下ったときには
ミシシッピ河が歌うのに耳傾け
その川面から泥に濁った川底まで
すべてが 夕映えのなかで金色にかがやくのを見た

そうやって
ぼくらは たくさんの河を見てきたのだ
太古の昔から流れる ほの暗いさまざまな河の流れを…

だから
ぼくの魂は 河の流れのように深みを増したのだ

                      ラングストン・ヒューズ
                      『ぼくらの魂に刻まれた河について語ろうか』
                      「夢の番人」(1932)より
                      訳詩©Luminas 2007



I've known rivers:
I've known rivers ancient as the world and older than the
flow of human blood in human veins.

My soul has grown deep like the rivers.

I bathed in the Euphrates when dawns were young.
I built my hut near the Congo and it lulled me to sleep.
I looked upon the Nile and raised the pyramids above it.
I heard the singing of the Mississippi when Abe Lincoln
went down to New Orleans, and I've seen its muddy
bosom turn all golden in the sunset.

I've known rivers:
Ancient, dusky rivers.

My soul has grown deep like the rivers.

                Langston Hughes “The Negro Speaks Of Rivers"
                from The Dream Keeper, 1932



わたしたちの血の中に あるいは魂の中に 祖先から脈々と受け継がれてきた
記憶や知識が 未知の山河への憧れや郷愁を駆り立てます

ラングストン・ヒューズは マルティン・ルーサー・キング牧師の活躍より30年あまり前
まだ黒人差別の根強かったアメリカで 黒人の誇りを謳(うた)いつづけた詩人です
はるかな文明発祥の地で 遠いアフリカで 人類の歴史の傍らを流れていた河とともに
生きた祖先の深い魂の記憶と歴史を受け継いでいる誇りが この詩にもあらわれています
それは歴史の浅いアメリカの白人たちに対するひそかな優越であったかもしれません
わたしたちの魂のDNAにはどんな風景が刻まれ 何を物語っているでしょうか☆
 

2007-12-19(Wed)

再び憂鬱に出逢うために

Early morning on the lake

ワインの杯へ 友の間へと
わたしはおまえから逃げた
おまえの暗い眼に怯(おび)えたから…
おまえの不実な子であるわたしは
恋や音楽に酔いしれ おまえを忘れることに成功したと思っていた

でも
おまえは黙々とわたしについてきていたのだ…
わたしがむやみに重ねるワインの杯のなかに
わたしの恋の夜の蒸れるような熱気のなかに
おまえに向かって放った嘲りの言葉のなかにも
いつも おまえはいたのだ

そしていま
旅から戻ったわたしを迎えると
おまえは私のくたびれ果てた手足を冷やし
わたしの頭を自らの膝に乗せてくれた
結局 わたしの長い漂泊(さすらい)の旅は
すべておまえにたどり着くための道程(みちのり)だったのだ
                             ヘルマン・ヘッセ「憂鬱への旅路」
                             訳詩©Luminas 2007



Zum Wein, zu Freunden bin ich dir entflohn,
Da mir vor deinem dunklen Auge graute,
In Liebesarmen und beim Klang der Laute
Vergaß ich dich, dein ungetreuer Sohn.

Du aber gingest mir verschwiegen nach
Und warst im Wein, den ich verzweifelt zechte,
Warst in der Schwüle meiner Liebesnächte
Und warest noch im Hohn, den ich dir sprach.

Nun kühlst du die erschöpften Glieder mir
Und hast mein Haupt in deinen Schoß genommen,
Da ich von meinen Fahrten heimgekommen:
Denn all mein Irren war ein Weg zu dir.

                       Hermann Hesse “An die Melancholie"



憂鬱(ゆううつ)の深い穴にはまることを できれば わたしたちは避けたがります
けれども この世に憂鬱や煩悶(はんもん)が存在しなければ
多くの芸術は生み出されなかったことでしょう
(うつ)は創造の病とも呼ばれます
芸術家ならずとも 鬱のトンネルを抜けたとき 
わたしたちの発想も視点も 新たな地平と深みを獲得するのですから☆





2007-12-18(Tue)

やっぱりひとり―孤独の情景3

autumn in the park

寝返りうたなきゃ さびしくて
寝返りうつと なおさびしくて


                               工藤 直子 『夜中』
                               「あいたくて」(大日本図書,1991年)



やっぱりひとりがさびしい枯草
やっぱりひとりがよろしい雑草



                               種田 山頭火 




ひとりはさびしいけれど でもひとりきりの粛然(しゅくぜん)とした孤独が
ときには必要であるかもしれません
自分の深みに下りていくために…
その相矛盾した思いを だれよりも痛切にかみしめていたひとが
後半生をひとり山野をめぐる漂泊の旅に過ごした山頭火でしょう☆




2007-12-17(Mon)

旅立ちを彩るもの

bike and a bird on a wooden bridge

かわりにしんでくれるひとが いないので
わたしは じぶんでしななければならない
だれのほねでもない
わたしは わたしのほねになる
かなしみ
かわのながれ
ひとびとのおしゃべり
あさつゆにぬれた くものす
そのどれひとつとして
わたしは たずさえていくことができない
せめてすきなうただけは
きこえていてくれぬだろうか
わたしの ほねのみみに

                         谷川 俊太郎 『死と炎-Tod und Feuer』
                         「クレーの絵本」1995年




いまわの際に耳に流れこんでくるのが 嘆きの声やすすり泣きでなく
無心にさえずる小鳥の声や 大好きだった歌や 川のせせらぎや
この地上で耳にした美しい音どもであったなら…
それらの音の余韻は魂に刻印されて 旅立ちの間もかすかに響いているでしょう
願わくば そんな美しい音を最後に耳にしたいものです☆




2007-12-16(Sun)

FOLLOW YOU FOLLOW ME

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どうかわたしのそばにいてください
いつも共にいてほしいのです
必要とするときは いつでもすぐそばにいてほしいのです
愛する方よ

あなたの腕の中なら 
とても安心して くつろいでいられるのです
あなたとだけ過ごす日々は 何ひとつ欠けることがないから

わたしは あなたについていきます
あなたは わたしについてきてくださいますか?
昼も夜も この先の日々は望むようになるでしょう
わたしは あなたと共にいくでしょう
あなたは わたしと共にいてくださいますか?
そうしたら もう一粒の涙もこぼすことはないでしょう
過ぎた歳月のように…

闇の中でも 
すべては とてもはっきり見えます
わたしの裡(うち)におこるすべての怖れも
ゆっくりと消えていきつつあるのが…

いまではわかるのです
夜が長くても
あなたがすぐそこにいてくださるから
そうして微笑(ほほえ)んでくださるから
わたしはもう大丈夫でしょう
生きているかぎり…

                        バンクス=コリンズ=ラザーフォード(ジェネシス)
                        訳詩 ©2007Luminas


Stay with me
My love I hope you'll always be
Right here by my side if ever I need you
Oh my love

In your arms
I feel so safe and so secure
Everyday is such a pearfect day to spend

I will follow you will you follow me
All the days and nights that we know will be
I will stay with you
Will you stay with me
Just one single tear in each passing year

With the dark, I see very clearly now
All my fears aredriftting by me so slowly now
Fading away

I can say
The night is long but you are there
Close at hand I'm better fo the smile you give
And while I live.......

                       "FOLLOW YOU FOLLOW ME"
                       Lyrics by Banks=Collins=Rutherford



欧米のバラードは <you>を大文字の<You>に変えれば
そのまま神への語りかけともとれる歌詞が結構あります
通常ラブバラードとして訳されているこの曲も そう置き換えてみると
神への愛と信頼を謳(うた)っているように思えませんか?☆


2007-12-15(Sat)

砕けたこころは…

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「こころが くだける」というのは
たとえばなしだと思っていた ゆうべまで
今朝 こころはくだけていた ほんとうに

ひとつひとつ かけらをひろう
涙がでるのは
かけらに日が射して まぶしいから

くだけても これはわたしの こころ
ていねいに ひろう

                        工藤 直子 『こころ』
                        「あいたくて」(大日本図書,1991年)




ひとのこころは いともたやすく砕けます
ほんの一瞥(いちべつ)で ほんのひとことで ため息ひとつで
あるいは 無視や黙殺で…
 
一瞬にして粉々に砕けたり 長い間をかけてじっくりと砕けていったときには
(いた)みが深くて 砕けたことに気づかないかもしれません
でも 砕けたこころから眼をそらして生きるとしたら 人生はぎくしゃくと軋(きし)むでしょう
壊れたポンプが正常に作動しないのですから…
砕けたこころのかけらは いとおしみつつ ていねいに拾ってあげなくては
ひとつのピースも取りこぼさないように…☆




2007-12-14(Fri)

ひとのこころの湖水に…

Sunset in mountain

ひとのこころの湖水
その深浅(しんせん)
立ちどまり耳澄ます
ということがない

風の音に驚いたり
鳥の声に惚(ほう)けたり
ひとり耳そばだてる
そんなしぐさからも 遠ざかるばかり

……

                            茨木 のり子 『聴く力』(抜粋)
                            「寸志」(花神社,1982年)




この地上に溢れる音が あまりに多いからでしょうか
眼を奪う色彩があまりに氾濫(はんらん)しているからでしょうか
わたしたちは 眼を凝(こ)らして ひとの表情の移ろいを見つめることからも
耳そばだてて ひとの声音の奥に流れる響きを聴きとろうとすることからも
遠ざかってしまったようです
まして 風の音や鳥の声に耳そばだてることが 近頃あったでしょうか☆


2007-12-13(Thu)

空の青が…

Blue sky and ocean

空の色が
海の色でした
(はる)かな隔たりに妨げられず
空の青が 海の青でした

或る人の心の空の色がそのまま
誰かの心の海に届いている
というようなことも ある

などと思いながら、私は
海を
海に届いている空を 泳ぎました
正確には――私の海に届いている或る人の空を

                             吉野 弘 「空の色が」
                             吉野 弘全詩集(青土社)



わたしたちの心の空は 遠くまで晴れ渡っていたかと思うと 
どんよりと重く垂れ込めて 陽射しのかけらも見いだせない日もあります
それがそのまま だれかの心の海を翳(かげ)らせるとしたら…
空の色は いくつもの海を確実に暗く翳らせることができるのです☆


2007-12-12(Wed)

誰にもせかされずに

autumn sky from a window

そよかぜが 窓から草木の香りを運んでくる
大気がなんでもない日々の物音を包んでいる
出来たらそんな場所で
もう鼻は その香りをかげないとしても
もう耳は もっとも身近な者の嘆きしか聞けないとしても

……

誰にもせかされずに 死にたいから
誰もせかさずに 私は死にたい
丸ごとの ただひとつのいのちのままで 私は死にたい
限りあるいのちを信じるから 限りあるいのちを慈しむから
今も そして死のときも

誰にもせかされずに 私は死にたい
扉の外で待つ者が 私をどこへ連れ去るとしても
それはもう この地上ではないだろう
生きている人々のうちにひそやかに 私は残りたい
目に見えぬものとして 手で触れることの出来ぬものとして

                          谷川 俊太郎
                          谷川 俊太郎詩選集3」(集英社文庫)



「生くることにも心せき 感ずることにも急がるる」と書いた太宰 治は
言葉のとおり 人生を濫費するように生き急ぎ 四十を待たずに死に急いでしまいました
生き急ぐことなく 死に急ぐこともなく 限りある命のリズムの刻まれるままに
ようやく迎えた死の床でも だれにせかされることもなく逝(い)けたら どんなにいいでしょう
自宅で亡くなることの少ない今の時代 それはむずかしいことかもしれませんが…☆




2007-12-11(Tue)

CHILD IN THE SUN −NAZARETH

Sea gull flying over the ocean at sunset

陽射しのなかで 途方に暮れてる
ひとりぼっちで佇(たたず)む子どもみたいに
逃げ出そうとしている もうひとつの魂みたいに
神さま あなたのもうひとりの 望まれない放蕩息子みたいに

しばらくの間 人生の時間はたっぷりあるようにみえたけど
いまでは 自分の人生から はじき出されてしまった
たったひとりで…
もう顔には微笑の影もない
それなのに どうして 時はこんなにもゆっくりと流れてるんだろう

もう時間はないし ぼくの手は疲れきって力がない
結局 ほんとうの友だちも 恋人もみつけられなかった
なのに まだ大地に縛りつけられてるなんて
神さま あなたは 一体ぼくをどこへ運んでいくつもりなんだろう

どうせなら 川へと連れてってくれ
どうか 海へと連れてってくれ
どこでもいいから この悲しみをすべて忘れられるところへ
すべてのトラブルを洗い流してしまえるところへ
そして 気がかりがすべて 大海へと漂い出ていくのを見たいんだ

             アグニュー=カールトン=マッキャフェティ=スウィート(ナザレス)
                           訳詩 ©2007Luminas


I am just a child in the sun
Just another soul on the run
One more of your unwanted sun
Tell me where can I go

I had a lot of time for a while
Now I'm off in my life alone
On my face no trace of a smile
Why does time pass so slow

I have no time my hands are rundown
There is no friends no lover I have found
Tell me where have you flown

Take me down to the river
Take me down to the sea
Where I can drown all my sorrows
Wash all my troubles away
Watch all my cares sail away
.......

                  "CHILD IN THE SUN" Nazareth
                  Lyrics by Agnew=Charlton=McCaffety=Sweet



どんなに絶望の淵に沈んでいるようでも 海や川へと向かう願いを抱いているうちは
そこに救いへの希求が宿っています
すべてを洗い流して 新たに再生したいという願いが…
実際に海辺や川辺に立つことが叶わないとしたら
波音やせせらぎのCDをかけて 静かに深い呼吸をしながら
その光景のなかにいる自分を思い浮かべるだけでも 
清冽(せいれつ)な水のエネルギーに包まれることができます
そして あなたのなかで新しいなにかが動くでしょう☆


2007-12-10(Mon)

終わりなき詩のように

waterfall in the wood

わたしを止めないで
標本箱の昆虫のように
高原からきた絵葉書のように
止めないでください わたしは羽撃(はばた)
こやみなく空のひろさをかいさぐっている
目には見えないつばさの音

……

わたしを区切らないで
(コンマ)や(ピリオド)いくつかの段落
そして おしまいに「さようなら」があったりする手紙のようには
こまめにけりをつけないでください
わたしは終りのない文章
川と同じに
はてしなく流れていく 拡(ひろ)がっていく 一行の詩


                         新川 和江 『わたしを束ねないで』(抜粋)
                         「新川和江全詩集」(花神社,2000年)より



雨が降れば濁り 水かさが増せば溢(あふ)れる…
時に淀み 時に激流となって奔(ほとばし)り…
わたしたちの日々は たえず流動し変化する流れのようなものです
その流れの全体が<わたし>であり
どこかの瞬間だけを切り取られて<これがあなただ>と断じられても不本意でしょう

けれども 他人のこととなると
ある段落だけを読み取って コンマやピリオドで簡単に決着させてしまいがちです
ずっと以前に届いてコルクボードに留めたまま黄ばんだ絵葉書が
そのひとのすべての消息であるかのように ある一瞬だけを取り上げて…

いま濁り 溢れているそのひとの 水かさが増したのは 
あなたが平和な眠りをむさぼっていた夜半に どんな激しい雨が降ったからか…
何も知らないかもしれないのに…☆



2007-12-09(Sun)

ちいさな願い

Grass with dew drops

人さまざまの
 願いを
  何度でも
   聞き届けて下さる
    地蔵の傍(そば)
      今年も
       種子(たね)をこぼそう


                           吉野 弘 『草』
                           「吉野 弘全詩集」(青土社)





路傍のお地蔵様や石仏やお墓に 寄り添うように生えている 名もない草たち
こんなささやかで けなげな願いを抱いて 自分の場所を定められたら
わたしたちの日々は もっと満ちたりたものになるのかもしれません☆



2007-12-08(Sat)

逢いたくて

Walking to Santiago de Compostela

だれかに あいたくて
なにかに あいたくて
生まれてきた――
そんな気がするのだけれど

それが だれなのか なになのか
あえるのは いつなのか――
おつかいの とちゅうで
迷ってしまった子どもみたい
とほうに くれている

それでも 手のなかに
みえないことづけを
にぎりしめているような気がするから
それを手わたさなくちゃ
だから

あいたくて


                          工藤 直子 『あいたくて』
                          「あいたくて」(大日本図書,1981年)




だれに逢(あ)うために…?
なにに遭(あ)うために…?
なにをことづかってきたの この地上に生まれてくるときに…?

それを問いつづけながら 途方に暮れながら
ひとは歩んでゆくのでしょう
いつか答えを取り戻す日まで☆




2007-12-07(Fri)

孤独な旅の果てに…

loneliness boat in sepia

世界がおまえから 離れ落ちてゆく
かつて愛したよろこびから 熱が失せ
燃えつきた灰のなかから 闇が黒々とが忍びよる

ひときわ強い手に押されて
おまえは沈んでいく 心ならずも
おまえのなかへ おまえ自身のなかへと…
おまえは凍(こご)えながら 死の世界に立ちつくす
背後から聞こえてくるのは 失われた故郷(ふるさと)の響き
泣きながら追いかけてくる 子どもたちの声
そして やさしい愛の調べ

孤独への道は苦しい
おまえが思ったよりも苦しい
夢の泉さえ いまは干上がっている
だが 信じるがいい
おまえは 道の果てに ふたたび故郷を見いだすだろう
そこでは 死と再生が
そして 墓と永遠(とわ)の母が待っていることを

                              ヘルマン・ヘッセ「孤独への道」 
                              訳詩©Luminas 2007



Die Welt fällt von dir ab,
Alle Freuden verglühen,
Die du einst liebtest;
Aus ihrer Asche droht Finsternis.

In dich hinein
Sinkst du, unwillig,
Von stärkerer Hand gestoßen,
Frierend stehst du in einer gestorbenen Welt.
Hinter dir weht weinend
Nachklang verlorener Heimat her,
Kinderstimmen und zärtlicher Liebeston.

Schwer ist der Weg in die Einsamkeit,
Schwerer als du gewußt,
Auch der Träume Quell ist versiegt.
Doch vertraue! Am Ende
Deines Weges wird Heimat sein,
Tod und Wiedergeburt,
Grab und ewige Mutter.

             Herman Hesse “WEG IN DIE EINSAMKEIT




この世のよろこびに無条件に耽溺(たんでき)しているうちは
ひとはなかなか真理に近づくことはむずかしいのでしょう
この世界のすべてが色を失ったような凍えるばかりの孤独のなかで
この地上のすべてのよろこびや熱が消え失せた無音の世界のなかで
初めて真の探求の旅へと ひとは押し出されるのです
再生はつねに<死>をくぐり抜けた果てにあるのです☆




2007-12-06(Thu)

永遠の水を求めて…

bubbles underwater 10

水に渇(かわ)いているだけではないのです
思想に渇いているのです

思想に渇いているだけではないのです
愛に渇いているのです

愛に渇いているだけではないのです
神に渇いているのです

神に渇いているだけではないのです
何に渇いているのか分らないのです

<水ヲ下サイ 水ヲ……>
あの日からずっと渇きつづけているのです
                              谷川 俊太郎 『渇き』
                              「谷川俊太郎詩集」(角川文庫)




自分が渇いていると 気づくことはむずかしい
自分が愛に渇いていると気づくことは もっとむずかしい
けれども いったん渇いている自分に気づいたなら
神にも水にも渇いていると 気づくことでしょう

この地上に生まれ出た最初の瞬間に 初乳を求めて泣き声をあげたそのときから
わたしたちはずっと渇いているともいえるでしょう
この渇きは いつかもと来た場所へ還るその日まで
真に癒されることはないのかもしれません☆






2007-12-05(Wed)

過ぎた日の疾風に

Outdoor cafe in Autumn

愛の疾風(はやて)に吹かれたひとは
愛が遥(はる)かに遠のいたあとも
ざわめいている
揺れている

風に吹かれて 枯葦(かれあし)がそよぐ
風が去れば 素直に静まる

ひとだけが
過ぎた昔の 愛の疾風に
いくたびとなく 吹かれざわめき
歌いやめない ――思い出を

                               吉野 弘 「愛そして風」
                               吉野 弘全詩集(青土社)




過ぎた日 心を吹き荒れた疾風が 時たま思い出したように
わたしたちを吹き抜けていくことがあります
とうに終わった愛の よろこびやかなしみや さまざまな思い出を運んで…
そのたび 心ざわめき 揺れ 思い出をひとつひとつ歌いあげる わたしたち
風がおさまれば たちどころに静止する枯草のようなわけにはいきません
いつまでも いつまでも 揺れながら 少しずつ静まっていくしかないのでしょうか☆






2007-12-04(Tue)

<さよなら>から始まること

a couple of lover hugging in the airport

そこから旅立つことは とても力がいるよ
波風たてられること きらう人ばかりで

でも 君はそれでいいの?
楽がしたかっただけなの?
僕をだましてもいいけど 自分はもう だまさないで

サヨナラから はじまることが たくさん あるんだよ
本当のことが 見えてるなら その思いを 僕に見せて

自分をつらぬくことは  とても勇気がいるよ
だれも一人ボッチには  なりたくはないから

でも 君はそれでいいの?
夢の続きはどうしたの?
僕を忘れても いいけど  自分はもう はなさないで

サヨナラから はじまることが たくさん あるんだよ
本当のことが 見えてるなら  その思いを 捨てないで

サヨナラから はじまることが  たくさん あるんだよ
本当のことは 見えてるんだろ その思いよ 消えないで
その思いを 僕に見せて

                            Lyrics by 永積タカシ 『サヨナラCOLOR』
                            「Grooblue」SUPER BETTER DOG





ここはもう 自分の場所でないとわかっていても…
このひととはもう 別れのときがきたとわかっても…
これはもう 要らないとわかっていても…
何かに別れを告げることを決心するのは つねに勇気のいることです
でも 満杯になったカップは いったん空にしなければ 何も注ぐことはできません
モノをしっかりつかんで握りしめた両手では 何も新たにつかむことはできません☆







2007-12-03(Mon)

時を超えて羽ばたくもの

shutterstock_809946

座敷のなかで 大きなあつぼつたい翼(はね)をひろげる
蝶のちひさな 醜い顔とその長い触手と
紙のやうにひろがる あつぼつたいつばさの重みと。
わたしは寝床のなかで眼をさましてゐる。
しずかにわたしは夢の記憶をたどらうとする
夢はあはれにさびしい秋の物語
水のほとりにしづみゆく落日と
しぜんに腐りゆく古き空家にかんするかなしい物語。

夢をみながら わたしは幼な児のやうに泣いてゐた
たよりない幼な児の魂が
空家の庭に生える草むらの中で しめつぽいひきがへるのやうに泣いてゐた。
もつともせつない幼な児の感情が
とほい水辺のうすらあかりを恋するやうに思はれた
ながいながい時間のあひだ わたしは夢をみて泣いてゐたやうだ。
あたらしい座敷のなかで 蝶が翼(はね)をひろげてゐる
白い  あつぼつたい 紙のやうな翼(はね)をふるはしてゐる。

                              萩原 朔太郎 『蝶を夢む』
                              「蝶を夢む」より




遠い幼な児の日のせつなさや よるべなさや憤り…
訪れたこともない国々の はるか昔に生きた人物としての物語…
ひとりのひとの裡に内包される記憶の出処を問うても 詮ないことです
輪廻転生がほんとうにあってもなくても 前世があってもなくても
どちらでもいいのでしょう

時を超えた記憶が わたしたちの心をいまだに悲しませ おののかせ
苦しめることそのものだけが 問題なのです
夢のなかで 封印された無意識の奥で 今日も解放されるのを待っている記憶が
ひそやかに羽ばたいているでしょう☆






2007-12-02(Sun)

風の吹く日は…

autum leaves against sky


   十何年過ぎ去った風の音

                              種田 山頭火


   ただ風ばかり吹く日の雑念

                              尾崎 方哉





風の吹き荒れる日 なぜかひとは平常心ではいられません
子どもはむずかり 大人も心騒ぎます
昼日中の風は この日常からわたしたちを根こそぎにし
夜半の風は 遠い過去へとわたしたちを運んでいきます

風の中で見つめる過去は すでに遠くて 熱や匂いを失っているから不思議です
風がいっさいの生々しさを吹き飛ばしてくれたかのように…☆







2007-12-01(Sat)

キリエ(Kyrie)−MR. MISTER

Road with lonely car

主よ 憐(あわ)れみたまえ 主よ

風は この山腹に激しく吹きつけている  
海を越え ぼくの魂の中にまで吹き込んでくる
隠しようのない深みまで…
そして ぼくを歩むべき道の上に立たせようとする

たくさんの記憶を抱えた心は 疲れ老いているけど
からだは 宝石のように輝く炎につつまれている
ぼくがふたたび自分を見いだすのは
そんなやわらかな肉体の器と 魂のあいだの どこかだ

 <主よ 憐れみたまえ>
ぼくはこの道の果てまで 旅を続けなければ
 <主よ 憐れみたまえ>
夜の闇を抜けて
 <主よ 憐れみたまえ>
ぼくがどこへ行こうと 共にいてくださいますか?
 <主よ 憐れみたまえ>
灯りに照らされたまっすぐな道を往(ゆ)く この旅の間ずっと…

若かったころ 
歳を重ねるって どういうことか
ぼくの人生にどんな意味があるのか 考えたけど
結局 選ばれた道を往くしかないのか
それとも 自分がなれるものに向かって望みを託すしかないのか

 <主よ 憐れみたまえ>
ぼくは この道の果てまで 旅を続けなければ
 <主よ 憐れみたまえ>
夜の闇を抜けて
 <主よ 憐れみたまえ>
ぼくがどこへ行こうと 共にいてくださいますか?
 <主よ 憐れみたまえ>
灯りに照らされ ぼくがこのハイウェイを往く間ずっと…

                            ペイジ=ジョージ=ラング(ミスター・ミスター)
                            訳詩 ©2007Luminas


Kyrie eleison, kyrie eleison, kyrie

The wind blows hard against this mountain side,
across the sea into my soul
It reaches into where I cannot hide,
setting my feet upon the road

My heart is old, it holds my memories,
my body burns a gemlike flame
Somewhere between the soul and soft machine,
is where I find myself again

Kyrie eleison, down the road that I must travel
Kyrie eleison, through the darkness of the night
Kyrie eleison, where I'm going will you follow
Kyrie eleison, on a highway in the light

When I was young I thought of growing old,
of what my life would mean to me
Would I have followed down my chosen road,
or only wished what I could be

Kyrie eleison, down the road that I must travel
Kyrie eleison, through the darkness of the night
Kyrie eleison, where I'm going will you follow
Kyrie eleison, on a highway in the light .......

                          Lyrics by S.Page-S.George-J.Rang
                           ©1987 BMG Entertainment




80年代のバンド MR.MISTERのヒットチューン「キリエ」は ラテン語のの祈祷文
<Kyrie Eleison=主よ憐れみたまえ>をタイトル&メインフレーズとした曲です
この曲に限らず欧米の楽曲には ジャンルを問わず<Oh Lord, 主よ>という呼びかけが
ごく自然に使われているのが印象的です☆




プロフィール

ルミナス

Author:ルミナス
"あなた本来の光と輝きを取りもどすために…”
セラピースタジオ ルミナーレにおいて,
スピリチュアル&ボディの両面から,各種セラピーを行っています.

<セラピースタジオ ルミナーレHP> http://www.luminare.jp
<セラピースタジオ ルミナーレブログ> http://blog.goo.ne.jp/luminare001/

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